靴デザイン辞典

オックスフォード/靴の基本スタイル

クロケット&ジョーンズの代表作 「オードリー」

オクスフォード・シューズ(Oxford shoes)とは、靴の基本型のひとつです。履き口が紐結び式でくるぶしから下でカットされた「短靴(たんぐつ)」の総称である。17世紀中ごろ(1665年頃から)、イギリスのオックスフォード大学の学生の間で長いブーツを廃して短い靴を履いたことから名付けられ、その短靴を原型としたものである。19世紀になり、現在のような紐つきの短靴のことを呼ぶようになった。現在では様々なバリエーションが生まれているが、甲部の形によってバル内羽根式(モラル型)と外羽根式(ブラッチャー型)外羽根式の2種に分類される。

https://www.frame.jp/products/detail/8445

内羽根式(バルモラル)/フォーマルなスタイル

福岡 靴磨き アルフレッド・サージェント
アルフレッド・サージェントの内羽根靴

内羽根式はシューレースホールが甲の部分の革と一体になっているスタイルである。紐をほどいても、シューレースホールは靴の履き口側しか動かないため、「内羽根式」という。「バルモラル」とも呼ばれている。シューズ自体に凸凹が少ないためフォーマルな印象になる。一般的に冠婚葬祭や室内執務に適しているとされている。イギリスのヴィクトリア女王の夫君、アルバート公がスコットランドのバルモラル城でミドルブーツをデザインしたことに由来すると言われている。

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外羽根式(ブラッチャー型)/カジュアルなスタイル

福岡 靴みがき オーベルシー
オーペルシーの外羽根靴

外羽根式はシューレースホールが靴本体に上から被さるようになっている状態の靴を指す。シューレースホールから紐を取ると羽根のようになるので、「外羽根」と呼ばれている。「ブラッチャー」「ブルーチャー」「ダービー」とも呼ばれる。靴全体に躍動感が出るので、ややカジュアルな印象になる。外羽根式は羽根の部分が全開になるので、靴の脱ぎ履きを素早く行うことができ、狩猟用や屋外労働用などで用いられてきた。

https://www.aubercy.com

プレーントゥ・Vフロント/シャープな顔立ちが魅力

「スカイフォール」にてジェームズ・ボンドが着用した
クロケット&ジョーンズの「ハイバリー」

外羽根の形状をV字型に切り替えたスタイルで、甲部が広くとれることからノーズが長く見えるメリットがある。羽根が短く、位置も高めであることからフィット感が高く、履く人の足形を選ばないのが特徴。甲骨が出ている人にもフィットしやすく、ビスポークやセミオーダー靴にも多用される。黒靴であれば、イギリスや欧州各国でもビジネスシューズとして履かれている。

https://www.crockettandjones.com

プレーントゥ・ダービー/最も基本的な外羽根靴

チャーチの人気の外羽根靴 「Shannon」

ダービーとは外羽根靴のこと。トゥに何の飾りもないこちらは、端正さと程よいフランクさを持ったビジネス靴の定番。羽根の開き具合である程度幅の調整ができるため、甲高の人でも履きやすい。外羽根式はフォーマル使用こそ適さないものの、脱ぎ履きのしやすさや躍動的な見た目から、カジュアルユースにも最適。スニーカーほどラフにならず、内羽根ドレスシューズほど気取らないバランス感が魅力である。

https://www.church-footwear.com/gb/en.html

ストレートチップ/紳士靴のスタンダード

エドワード・グリーンの代表作「チェルシー」

トゥを横一線一文字に切り替えた、フォーマル度の高いスタイル。芯跡がアッパーに浮き出てしまうのを防ぐべく、それを覆うようにキャップを被せたのがデザインの由来とされる。別名「キャップトゥ」。イギリスでは「ストレート・トゥ・キャップ」と呼ばれる。ストレート・チップには装飾が施されていないものも多く、見た目がシンプルなため、フォーマル向きの靴としてよく使用されている。なかでも黒色のものが最もフォーマルとされている。

http://www.edwardgreen.jp/#

ウイングチップ/カントリー靴の王道

トリッカーズ

つま先の革の切り替えに使われる革片(チップ)が、翼(wing)のような形をしているので、この名がつけられた。つま先のブローグ(W型の模様穴飾り)も特徴で、「おかめ飾り」ともいわれる。クラシックな雰囲気を演出するのに適したシューズである。靴全体に穴飾りをあしらった「フルブローグ」が定番のスタイル。カジュアルが基本にあるが、ビジネスシーンでも人気のあるスタイルである。

https://www.trickers.com

サドルシューズ/アイビーボーイ必携

福岡 靴磨き リーガル
サドルシューズの定番ブランド リーガル

サドルシューズ(saddle shoes)とは、中央の紐締め部分の色・素材が、爪先(つまさき)や後部と異なったコンビネーションの靴。 甲革の部分に馬の鞍(くら、サドル)をつけた ようなデザイン。サドルオックスフォードと呼ばれることもある。起源は英国だが、米国スタイルが定番で、アメカジに合わせる靴として一部のファンから根強い人気を得ている。ゴルフやボーリングなどスポーツシューズにも使われている。30’s以降、アイビーリーガーのファッションアイコンとして愛された。コンビ仕立てにされることが多く、カラーバリエーションも豊富。

http://www.regal.co.jp/

Uチップ/カジュアルにも履けるスタイル

福岡 靴磨き パラブーツ
パラブーツの人気作品 「シャンボード」

モカステッチによってU字型にアッパーを縫い合わせたもの。実は和製英語で、形状によってVチップと呼ぶなどバリエーションがある。アッパーにモカシン縫いといわれるステッチが施され、イギリスでは「ノルウィージャン」、アメリカでは「スプリット・トゥ」や「モック・トゥ」などと呼ばれる。フランクな雰囲気で、カジュアルスタイルとも相性がいい。

https://www.paraboot.com

シングルモンク/ストラップ靴の王道

バックル留めのストラップで甲を締めるシューズをいう。アルプスの修道士が履いていたシューズに端を発することからこの名がついた。トゥが丸みを帯びていて、飾り気のない写真のようなタイプが一般的である。ブーツになっているタイプもある。足に馴染んでくるとストラップを外さずにスリッポンのように履くことができる。

エドワードグリーンのシングルモンク「MACMILLAN」

http://www.edwardgreen.jp

ダブルモンク/スーツに合わせられる靴の中では最もカジュアル

ジョンロブを代表する定番ダブルモンク 「ウィリアム」

ストラップが二股になっており、2つのバックルで留めるタイプを「ダブルモンクストラップ」、履き口の側面に回り込むようにして留めるタイプを「サイドモンクストラップ」と呼ぶ。シングルよりも華やかな印象になる。紐靴よりやや砕けた印象があり、アクセントとして重宝する。最初にデザインしたのはイギリスの靴ブランド「ジョン・ロブ」。スーツに合わせられる靴の中では最もカジュアルと言えるでしょう。

https://www.johnlobb.com/ja_jp/

ホールカット/贅沢な一枚革仕立て

マグナーニのホールカット

アッパーが一枚革で仕立てられている作りをいう。ヒール部以外に継ぎ目がなく、美しく吊り込むには高い技術を要する。ホールカットは言わばシンプルの極みの革靴。ほとんど全くと言っていいほど装飾や継ぎ目がなく、革一枚の表情と造形美が非常に際立つ靴である。また革を贅沢に使った仕様ということもあって、ノーブルな趣が強い。

https://www.magnanni.com

ローファー/カジュアル革靴の代名詞

アレンエドモンズのペニーローファー

U字のモカステッチが特徴のスリッポン。別名「ノーウィージャン・フィッシャーマン・シューズ」と言われ、最初に流行したのは1920年代の英国。その後、脱ぎ履きが簡単なことから、アメリカの靴メーカーが名付けた「ローファー(怠け者)」という呼び名が定着した。ローファー・シューズはカジュアルな靴とされる場合があるが、ビジネス用などとして準フォーマルにも使用されている。

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ビットローファー/高級感溢れるカジュアル靴

福岡 靴磨き GUCCI
GUCCIの1953 コレクションホース ビット

ローファーの上に馬具を模した金属をあしらったのがビットローファーである。グッチが最初に発表したのが始まり。基本的にはカジュアルなアイテムなのでスーツスタイルには適さない。金属部分が高級感を出してくれる。

https://www.gucci.com/jp/ja/

タッセルローファー/

オールデンのタッセルローファー 
「Genuine Shell Cordovan」

ローファーの上に革製の紐が付いたのがタッセルローファー。タッセルローファーはフォーマルな靴だが、最近はスーツに合わせるよりもドレスカジュアルなどに使用される。

http://www.aldenshoe.com/#&panel1-1

ヴァンプシューズ/

フローシャイムのヴァンプシューズ

全く飾り気が無く、甲の部分からつま先にかけてシャープに曲がっていくシルエットのローファーをヴァンプシューズと呼ぶ。甲周りがちょうど舌のような形状になるからこのように呼ばれているが、海外ではあまりこの名称は使われず、むしろヴェネシャン(Venetian)と呼ばれることが多い。

https://www.florsheim.com/shop/index.html

チャッカブーツ/軍靴にも採用された靴

福岡 靴磨き チャーチ
チャーチの定番「ライダー3」

チャッカブーツ(chukka boots)とは、もともとはポロ競技用のくるぶし丈の外羽根ブーツ。足のくるぶしがかぶるくらいの深さのブーツで2~3個の鳩目穴があり、紐(ひも)で結ぶもの。 同様なデザインのシューズにデザートブーツがある。短靴でも完全なブーツでもない少し特殊なスタイルだが、適度にフォーマル感のあるカジュアルシューズとして様々なファッションに応用が効くのが特徴である。アイビーからモッズまで、さまざまなファッションに合う汎用性の高さは革靴随一。

https://www.church-footwear.com/gb/en.html

サイドゴアブーツ/永遠のモッズアイコン

ブッテロのサイドゴアブーツ

1830年代中盤にイギリス・ロンドンの靴屋が、当時即位したばかりのヴィクトリア女王のために、脱ぎ履きが容易でフィット感の得やすいブーツを作るべく採り入れたのが始まりである。サイドゴアブーツ(Side Gore Boots)とはその名の通り、足の内外双方のくるぶしの周辺に“Gore”、つまり「マチ」が施されたアンクル~ショート丈のブーツのことを指す。この「マチ」は通常、ゴムを織り込んだ伸縮性のある生地でできていて、靴紐やストラップ・バックルの代わりに施されるビートルズが履いていたことから60’sに流行し「チェルシーブーツ」とも呼ばれた。その歴史は古く、坂本龍馬がこれを履いていたという話も。

https://buttero-online.jp

サイドエラスティック/ビスポークでも定番人気

福岡 靴磨き ガジアーノ・ガーリング
ガジアーノ・ガーリングのサイドエラスティック

文字通り、アッパーの両サイドにエラスティック(ゴム)をあしらったスタイル。簡単に脱ぎ履きできるのが特徴である。いわゆるスリッポンの一種だが、どこか貴族的な趣がある。ゴム部を隠すように革帯が並べられたデザインが一般的である。印象としては、クラシカルでありながら、とてもエレガント。

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アルバートスリッパ/格式高いおしゃれ靴

クロケット&ジョーンズのアルバートスリッパ

アルバートスリッパは、オペラ鑑賞、舞踏会などの上流階級の遊びの中で使用される室内履きスタイルで、ベルベットなどの素材に刺繍が施されたエレガントな作りが特徴である。イギリスのヴィクトリア女王の夫君、アルバート公がお気に入りの履物だったため名付けられた。近年はカジュアルファッションに合わせるために外履き用にもアレンジされている。

https://www.crockettandjones.com

ジョッパーブーツ/乗馬由来の上品長靴

ジェイエムウエストンのジョッパーブーツ

乗馬用の短靴(ショートブーツ)の一種であり、イギリスの軍隊が乗馬の際に着用していた靴が起源とされている。ストラップがくるぶし周りを一周し、バックルで締め付けているのが特徴である。足首へ巻きつくよう配された「クリスクロス・ストラップ」と呼ばれる細帯がデザインの特徴だ。英国クラシックの薫る靴として、再び注目を集めている。

https://www.jmweston.com

カントリーブーツ/頑丈、屈強でありながら上品な靴

カントリーブーツの王道 トリッカーズ

一般庶民の中で育った、農作業や狩猟をするときに履かれた靴のスタイル。ストームウェルト、ダブルウェルト、ダブルソールなど、防水性、耐久性を重視した造りでワークブーツに似たワイルドさとカジュアル感が特徴である。短靴の場合は「カントリーシューズ」と呼ぶ。本革で作られていて、さらに足首よりも上をサポートする長さが基本的な特徴である。

https://www.trickers.com/uk/

BEFORE & AFTER

アッパーのパーツ名称

ソールのパーツ名称

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