スピーゴラ
#Spigola
世界が認めた日本のビスポークシューズ
2001年、靴職人である鈴木幸次氏が兵庫県神戸市長田区に工房「Antica Bottega della Spigola(アンティカ・ボッテガ・デラ・スピーゴラ)」をオープン。スピーゴラ(イタリア語で魚の「スズキ」を意味する)というブランド名でフルハンドメイドのビスポークシューズの展開をスタート。
2001年、鈴木幸次氏のデビューは鮮烈だった。フィレンツェの天才ロベルト・ウゴリーニ氏の工房にて、4年間の修行を行った。この工房は優秀な日本人を多数輩出しており、コルノブルゥ(福岡県福岡市)の清角 豊氏(せいがくゆたか)、イタリアで活躍しているイルミーチョの深谷秀隆氏も同じ工房出身である。その中でも、同じの修業を終え、帰国したばかりの25歳で、当時のニッポンには、そんな若いビスポーク靴職人は誰もいなかった。
作品はまだ粗削りだったが、それ以上の魅力に満ちていた。それから今に至るまで、着実に腕を上げ、名実ともにトップの職人へと、見事なまでに成長を遂げた。
職人が手掛ける靴には、人間の内面・生き様がそのまま表れる。トップで走り続けてきた自信の裏返しか、彼には構えたところが一切ない。人物はイタリア的な陽気さ、靴は自然体が生む色気に満ちている。
彼自身も人生を楽しみ、たくさんの趣味を持っている。職人は仕事だけに気持ちが向いてしまいがちだが、心の余裕こそが靴に魅力をもたらしてくれることを、彼は誰よりもよくわかっている。
そんな鈴木氏の舞台は今や世界にあり、香港、シンガポール、ニューヨークでのオーダー会は大盛況で、最近では北欧の各国からも熱烈なラブコールを送られている。
スピーゴラは誕生からまだ十数年という新鋭のブランドだが、その出来の良さは日本を代表する服飾評論家の第一人者、落合正勝氏も認めている。ロンドンのビスポーク靴職人、ジェイソン・エイムズベリー氏も日本のシューメーカーで印象に残っている靴として、ヒロ・ヤナギマチと鈴木氏のスピーゴラを挙げている。
スピーゴラの靴からは、日本人の持つ繊細さとイタリア靴独特の風格が漂っている。鈴木氏の世界での成功は、これからの若い世代の靴職人たちに、大きな夢を与えてくれる。限られた顧客しかいない小さなビスポークの世界でも、世界を相手にすれば話は別だ。そして実際、今、世界は第2の鈴木氏を探している。
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