アッパーに関する辞典
ホールカット/アッパーの造り
ホールカットとは、靴のアッパー(甲革)を一枚の革で形成したものを指す。ワンピースとも呼ばれる。スマートなフォルムで装飾もシンプルにしてドレッシーな装いに合わせられる場合が多い。
スリッポン/アッパーの造り
スリッポンとは、ひも(紐)も留め具も用いずに足をすべり込ませて履く靴のこと。アッパーを締め込むシューレースやストラップがなく、ボールガードとヒールカップのホールドだけで履くタイプの総称である。正式名称は「スリップ・オン」または、「スリップ・オン・シューズ」で、スリッポンは略語。
サイドエラスティック/アッパーの造り
サイドにゴム製の布が取り付けられ、エラスティック(伸縮性)になっているタイプの靴のこと。スピーディーに脱ぎ履きができてフィット感も高い。
サイドレース/アッパーの造り
サイドレースはモンクストラップにも通じるどこかエレガントな雰囲気になる、羽根の切れ目がサイドに偏り、シューレースで締め上げるタイプの靴。デザイン重視の個性的な印象の靴である。
メダリオン/アッパーの装飾
メダリオンとは、革靴のつま先周辺に施される、小さい穴(パンチング)をたくさん開けた装飾の事を指す。もともとは靴内の湿った空気を逃がすためのもので、スコットランドが発祥とされている。メダリオンのついた靴は、ブローグ(brogue)という。徽章(きしょう)やメダルのついた飾りを示すこともある。
タッセル/アッパーの装飾
タッセル(tassel)とは、糸などを束ねて、先を房状にした飾りを指し、家具・衣服などの装飾に用いる。靴のアッパー(甲革)や革ひもの先端などに取り付けられる房飾りのことである。タッセルはローファーやスリッポンによく見られる装飾で、タッセルが付いている靴を一般的に「タッセル・シューズ」と呼ぶが、スリッポンを特に「タッセル・スリッポン」、ローファーを「タッセル・ローファー」、ウイングチップのデザインが施された靴を「ウイング・タッセル」と呼ぶ。タッセル・シューズはもともと宮廷の男性用室内履きとして履かれており、兵士用のブーツにも施されていた。
レベルソ仕上げ/アッパーの装飾
アッパーの縫製を工夫し、縫い目が見えないように仕上げる意匠のこと。アッパーに縫い目を出さないレベルソという仕様は、匠の技を粋な感覚で具体化したものである。内羽根、ストレートチップと組み合わせられることが多く、スッキリした見た目が艶やかであり、ドレッシーな感じなのでパーティーなどのシーンにマッチする。
外ハトメ/アッパーの装飾
外ハトメとは外側に紐を通す穴の強化材の「金具」を見せる仕様のことを指す。ワークブーツなどに使用されることが多く、カジュアルファッションにマッチする。もちろん、レースステーやシューレースの耐久性も上がる。
アデレード/アッパーの装飾
通常の内羽根はヴァンプとクォーターの縫い目があるが、アデレードはワンピースになっており、ヴァンプでレースステーを囲うような縫い目が見える。竪琴の枠のような形状に刳り抜いて設置される。
スワンネック/アッパーの装飾
内羽根式の紐靴においては、各鳩目の下で連なり靴のクォーターとを隔てる縫い目は、靴のヴァンプに向かって、緩やかな弧を描いて下降して行くのが一般的だが、一番つま先に近い鳩目付近でこの縫い目を、あたかもひらがなの「く」の字の様に一旦鋭角に逆行させた後、下降する意匠をスワンネックと呼ぶ。ヨーロッパに古くから伝わる伝統的な装飾である。
ビーディング/アッパーの装飾
履き口に施されるテープ状の革の補強材を挟み込み、折り目が見えるようにする仕様を指す。補強の役割もあるが、履き口に少しだけ重厚感が出て上品な印象を出せる。「玉出し」とも呼ばれる。
ピンキング/アッパーの装飾
キャップや切り替えの端を連続してギザギザの山型にカットした装飾を指す。ピンキングとギンピングという二通りの呼び方がある。ややカジュアルな靴向けの装飾。